人形への想いと技の世界
日本では古来より人々の幸せを祈るために
人形がつくられてきました
日本における人形の歴史は大変古く、遥か縄文時代から土偶など、神への祈りのために作られてきました。
人形が信仰の対象として生まれ、神様の姿であり、自分の身代わりとして作られてきたのです。
日本独自の文化が華開く平安時代になり、祈りの対象から宮中の行事や人々の生活を人形であらわした「ひいな遊び」が生まれました。江戸時代には桃の節句に雛を飾る雛祭が公家、大名家で一般化し、庶民にも広まりました。人形師という専門の職業が出来て、宗教性を持った人形は観賞用の要素を持ち、観賞用の豪華な人形が作られるようになりました。豪華な衣装を着て、能や市井の風俗を題材とし、立体感ある芸術品として人形は歩きはじめました。京都は平安の都として栄え、多くの卓越した職人技により、今日まで人形文化の中心として栄えてまいりました。京人形と呼ばれる京都の人形には、雛人形を筆頭に五月人形、武者人形、市松人形、御所人形と、關原が作っています衣装人形などがございます。
關原人形は、作者のイメージを再現した芸術性の高い人形を完成させることを目指しています。
また、完成までに着付師、髪付師、頭師、手足師、小道具師など、それぞれの工程が分業になっている京人形の中で、ほとんどの工程を自ら手がける人形創りができることは、初代・紫水はもとより、それぞれの伝統技術の手ほどきをいただいている、全ての皆様のお陰と感謝し、さらに日々精進を続けてまいります。
人形の衣裳
人形の着物に使用する布地は、京都の熟練された職人に依頼し、白地から特別に染めていただいております。
關原京人形は、染め上がった布地にそれぞれの人形に合わせて衣装のデザインや図案を考え、自ら布地に直接手描きをして仕上げます。帯地などの金襴は特別に細かい柄で織られた京都の西陣織を使用しています。
衣裳の仕立
出来た布地を人形の衣裳に仕立てます。細い針金を和紙に貼り、衣裳の細かい部分に入れて、自然な美しい襞を表現しています。この、今にも動き出しそうな流麗な動きを持つのが關原京人形の特徴となっています。
人形の胴体
胴体は人形の動きとイメージに合わせて創作しています。胴は木を削り手足に針金を通して骨組みをします。それに綿と和紙で肉付けしてボディラインを決めます。胴体創りは特に重要な工程であるため、人体学を学ぶことで、人形として最も美しい姿を追求しています。
頭と髪
頭(かしら)は、それぞれの人形のイメージに合わせたものを使用し、最高とされる頭師に依頼して製作したものに作者が日本髪を結って仕上げます。最初に頭はボウズ頭で出来てくるため、その頭に彫刻刀で溝を彫り、人形の毛髪用の黒く染めた絹糸の毛先にノリをつけて、1本1本、植え込んでゆきます。また、人形の髪型に合わせて、毛の植え込みの方法や結い方も変わります。
日本の時代風俗の研究を重ねたことで、独自の垂髪など様々な日本髪を結うことが出来るようになりました。
衣裳の着付
このような工程で出来上がった人形の身体に、独自に仕立てた衣裳を着せて完成となります。
この着付けにも、人形の美しい姿と流れるような動きを創るために様々な独自の技を取り入れています。